2025年5月、塩野義製薬(以下:塩野義)を信用取引で買いました。
きっかけは、子会社である鳥居薬品がTOB(株式公開買付)の対象となり、塩野義による完全子会社化が発表されたこと。
ぼくは「一時的に株価は下がっても、中長期では必ず上がる」と判断し、下落のタイミングを狙って2340円で100株を信用買い。
しかしその直後、想定外の大暴落が発生し、含み損へ。
この記事では、その経緯と失敗の要因、今後の戦略、そして反省点をまとめていきます。
鳥居薬品のTOBを受けた株価の動き
2025年5月、塩野義が60%以上の株式を保有し鳥居薬品(4551)を完全子会社化するTOBを発表しました。TOB価格は1株6,350円で、市場価格を大きく上回るプレミアム付き。
このニュースを受け、鳥居薬品の株価は急上昇。一方、買収側の塩野義には「コスト負担」や「資本効率の悪化」などが懸念され、株価は下落しました。
ここでぼくは「下がるのは一時的で、企業価値はむしろ上がる」と判断し、信用取引で2340円の指値注文を入れ、100株を購入しました。
なぜ上がると思ったのか?──シダキュアの成長性
買った一番の理由は、鳥居薬品が販売する「シダキュア」(スギ花粉症の舌下免疫療法薬)の急成長ぶりです。
- 2023年12月期のアレルゲン領域売上高:242億円(前年比+11.6%)
- 2024年の会社予想:300億円(前年比+24%)
- 鳥居薬品の全売上高に占める比率:約40%
さらに、2025年7月には新たな原薬製造設備が稼働予定で、今後も出荷量を増やせる体制が整ってきています。
つまり、今回のTOBは「短期的なコスト負担はあるが、長期的な収益力は確実に強化される」と判断しました。
しかし、現実は甘くなかった──株価は大暴落
思惑とは逆に、塩野義の株価は2340円 → 一時2162円まで下落。
買った直後からの急落に対応できず、損切りもせず放置。
2025年5月20日現在、株価は2281.5円。
含み損を抱えたまま、出口戦略も曖昧なまま、信用ポジションを持ち続けてしまっています。
信用取引でやってはいけない「出口未設定」
今回最大の反省点がこれです。
信用取引であるにもかかわらず、「どこで売るか」を全く決めずに買った。
信用取引の基本ルール(初心者向け)
項目 | 内容 |
---|---|
最大保有期間 | 通常6ヶ月以内に反対売買が必要(制度信用) |
必要な資金 | 実際の株価の約30%(証拠金)で取引可能 |
金利・貸株料 | 建玉に応じて発生。長期保有はコスト大 |
リスク | 株価が下がれば追証(追加保証金)リスクあり |
「下がっても持ってればそのうち上がる」は、信用取引では通用しない。
時間制限があり、コストも積み重なる中で、常に出口を意識していなければならなかったと痛感しています。
今後の売却ラインは? → 2400円を目標に
現状を冷静に見た上で、2400円での売却を目標に再設定しました。
理由は以下の通り:
- 損益ラインの調整:ほぼ損なしで撤退できる価格帯
- チャート的には短期のレジスタンス(上値抵抗)
- 信用維持費用をこれ以上かけたくない
もちろん、それ以上上がる可能性もありますが、今回は「ルールなきエントリーだった」という前提から、最小限のリスクで抜ける判断を重視します。
塩野義製薬・鳥居薬品の企業概要
塩野義製薬(4507)
- 創業:1878年(大阪)
- 事業:医療用医薬品・ワクチン開発に強み。抗インフル薬「ゾフルーザ」など
- 特徴:新薬開発型の中堅製薬会社。海外展開も強化中
- Webサイト:https://www.shionogi.com/jp/ja
鳥居薬品(4551)
- 創業:1924年
- 事業:アレルギー関連(シダキュア、ミティキュア)に特化した製薬企業
- 特徴:塩野義の連結子会社。シダキュアで知名度を拡大中
- Webサイト:https://www.torii.co.jp
TOBってなに?(初心者向け補足)
TOB(Take Over Bid)とは、ある企業が別の企業を買収するために、その会社の株式を一定の価格で公開買付けすることです。
- 通常より高値で提示されることが多い(プレミアム価格)
- 買収対象の株は上昇しやすい
- 買収側は一時的に「資金負担・経営統合リスク」が株価の重しになる
今回のように、塩野義がすでに6割以上の株を保有していたケースでは、
完全子会社化により意思決定がスムーズになるメリットがあります。
まとめ:信用取引で最も重要なのは「売りの判断」
今回のトレードは、完全に自分のルール違反でした。
– 信用で買うのに出口を決めなかった
– 材料(TOB・シダキュア)にだけ注目して、タイミングと値動きを軽視した
投資は常に「仮説と検証」です。
仮説が外れたら即座に撤退できるようなリスク設計とルール作りが重要だと、身をもって感じました。
✅ 今回の教訓まとめ
教訓 | 内容 |
---|---|
材料株でも短期は読めない | TOBや業績好調でも短期的には売り圧力がある |
信用取引=タイムリミットあり | 「そのうち上がる」は信用では禁句 |
買いよりも売りの戦略が重要 | 利確・損切りラインは事前に決めておくべき |
ルールがない投資は博打と同じ | 感情でポジションを持たないこと |
この記事が、同じように「信用取引を始めてみようかな」と考えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
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